2004.10月の記事

10 29 2004

体の自然な動きを大事にする**後編

前回に引き続き、いろいろなスウィング理論について、考察してみましょう。

皆さんの周りに、ゴルフ雑誌やビデオを見て、一生懸命ゴルフの打ち方を研究されている人がいると思いますが、私がいつも不思議に思うのは、ゴルフ理論に熱心な方の多くに見られる、自分のスコアにあまり注意を払わないということです。

1つの例をあげると、A氏はハンディキャップが10ですが、最近は1ラウンドで100近く打つことがあります。しかしA氏は、2年前までは、調子がいいと70台のスコアを出す腕前でした。しかしながら、自分のスコアはさておき、以前と同じように周りの人にゴルフ理論を説いています。

私が思うには、大きな病気でもしない限り、1年や、2年で体力が大きく落ちることはないでしょう。時々70台を出していたプレーヤーが、90台後半のスコアを頻繁に出すということは、技術的に何か問題があるはずです。ゴルフ理論に熱心な人の中には、現実に起きている事象、すなわち、平均ストロークが大幅に増えている、ということに目を向けないで、最新のゴルフ理論に目が向くようです。しかし、スコアが大きく増えるということは、今自分が実践している理論に問題があって、それがスコアを増やす原因となっていると考えるのが健全ではないでしょうか。

小さな子供にゴルフを教えると、殆どの子供は、右打ちの場合左手を下にしてグリップします。パッティングでよく見かけるクロスハンドグリップです。なぜ左手を下にして持つかといえば、クラブはボールを打つとき、体の右サイドか左サイドに向かって動くので、リードする腕である左手を伸ばした方が、コントロールしやすいと体が感じるのでしょう。理屈ではなく、自分の体の動きやすさで、クラブを持とうとします。うまくいっていないゴルファーには、この感覚が欠如しているように私は常々思っています。情報が多すぎて、「感じなくては」ならないことを、「考えて」しまうゴルファーが沢山いるのではないでしょうか。

金槌で釘を打つときや、ハンマーで杭を打つときに、金槌やハンマーの動きに意識を置かないはずです。釘や杭だけに意識を集中しているはずです。最近、フェースの芯にボールが当たらないと感じているのであれば、今自分は何に意識をおいているのか、考えてみてください。ダウンスウィングで、右脇を締めようとか、左手を伸ばそうとか、グリップエンドをボールに突き刺すようにおろそうとか、クラブヘッドを通じて、ボールに自分の力を加えること以外のことを考えてスウィングしていませんか?難しいことを考えずに、「無心」で、そして「気楽」にボールを打ってみてください。自分が思ったよりも、ナイスショットがでるはずです。

No,0017

10 20 2004

体の自然な動きを大事にする**前編

今回のテーマは、いろいろな場所で氾濫しているスウィング理論が、皆さんのゴルフにどのように影響しているかを考えます。

まず最初に、私がトーナメントを回りだした平成8年の出来事です。ある女子プロのトーナメントの練習日、若手の女子プロとベテランの女子プロが一緒にラウンドしていましたが、途中でベテランの女子プロが若手の女子プロに対してアドレスの姿勢に対してアドバイスをしていました。ベテランの女子プロのアドバイスは、次のようなものです。「もう少しひざを曲げて。もう少し、もう少し、そうそう、そのぐらい曲げないと。」そして若手の女子プロは、「このぐらい曲げればいいんですね」とうなずいていました。

私は、この光景を見て驚きました。なぜ驚いたかといえば、ひざをどのくらい曲げるかは、本人でなければわからないと思っているからです。ゴルフのスウィングは、クラブという道具を通じて、からだで生まれた力をボールに加えることと理解しているので、その「感覚」というものは、本人が掴むしか方法がないと思っているからです。もちろん、「ヒント」としてアドバイスすることは、大事なことですし、それは可能なことです。

それは、パッティングの距離感を同じことです。たとえば、バックスウィングの大きさで距離が完全にコントロール出来ればいいのですが、1mのパッティングのバックスウィングの大きさは、5mのパッティングの1/5の大きさではないはずです。少し離れたところにあるゴミ箱に、紙くずを投げる場合、その距離感は「感覚」で投げているはずです。

トッププレーヤーのアドレスを見ると、アドレスでひざが比較的伸びているプレーヤーもいれば、ひざの角度の深いプレーヤーもいます。スウィングを始めるにあたり、スムースにそしてパワフルに動きやすい姿勢は、それぞれが違った感覚を持っているために、異なったものとなるのでしょう。ですから、第3者が「あなたの1番力の出るポジションはこういう形です」と断言は出来ないと思います。つまり、アドバイス出来るものと、出来ないものがあるということです。「あなたのスタンスは、グリーン左のバンカーのほうを向いています」というアドバイスは有益なものです。アライメントは、正確なショットを打つために、必要不可欠なものですから。

ゴルフに関する、雑誌、ビデオなどが沢山出版されています。私が感じるところでは、本来感覚で行わなければならないことが、具体的な言葉で、「こうしなさい」というものがあまりにも多すぎるように思います。バックスウィングの大きさで、時計の10時の位置なら80ヤード、11時の位置なら95ヤードというものがそうです。トッププレーヤーのバックスウィングの大きさが全て同じなら、上のアドバイスは有効ですが、どう見てもトッププレーヤー全員のバックスウィングの大きさは、私の目には違って見えます。

No,0016

10 07 2004

スウィングとクラブの重量の関係**後編

テニスとバトミントンで使用するラケットは、同じような形をしていますが、ラケット自体の重量はかなり違います。シャトルは軽いですが、シャトルに比べればボールの方が、かなり重量はあります。重いものを打つテニスのラケットのほうが、重くなるのは当然です。バトミントンのラケットは、手首のスナップだけで打つことが出来ますが、テニスのラケットは、よほどの怪力の持ち主でない限り、手首のスナップだけで打つことは出来ないでしょう。

それとは逆に、バトミントンのラケットを、足腰を使って全身で振れるでしょうか?全身を使うには、ラケットが軽すぎるはずです(ただし、スマッシュを打つのは全身運動です)。道具と人間の体重に相関関係があり、体重に比べてかなり軽い道具は、腕だけで処理した方がバランスが取りやすいことがあります。

たとえばドライバーを例にとって見ると、今市販されているドライバーの中で一番軽いものは、総重量が250g前後でしょう。また、シャフトをスチールにすれば、総重量は370gぐらいになります。重いほうのクラブから見ると、軽いクラブの方は30%以上も軽くなっています。この2種類のドライバーを使って練習すれば、スウィングは変わってきます。軽いドライバーを使って練習すると、腕に頼ったスウィングになりやすく、重いドライバーを使って練習すれば、下半身を積極的に使ったスウィングになりやすいでしょう。軽いドライバーに変えて、「最初はよく飛んでいたのに、最近はあまり飛ばない」という話を、時々耳にしますけど、クラブ自体に変化はないわけですから、自分自身が変わったといえます。どんどん軽いクラブに変えるということは、どんどん手打ちのスウィングになっていくと、同義語と言っていいかもしれません。

人間の腕の役割は、体の中心部分(体幹)で生まれた力を伝達する道具としての機能を持っています。ですから、腕を振ってスウィングすることは、体の中心で生まれた大きな力を、逆流させて、大きなパワーをクラブヘッドに伝えることは出来ません。軽いクラブを使って、腕に頼ったスウィングになると、どんどん飛距離の低下を招きます。

また、クラブ重量を重くすることにより、方向性の向上が期待できます。私のところにこられる60歳代のお客さんで、軽いカーボンシャフトから軽量スチールシャフトに変えて、方向性がかなり良くなり、飛距離も以前とまったく変わらないと言ってました。「重さ」という制約が、手の動きを少なくすることにより、方向性が良くなったのでしょう。

最後に、体の小さい人がロングドライブを打てないことは、決してありません。田中秀道プロは、166cm、60kg弱の体で、素晴らしいロングドライブ放ちます。肩、腕を柔らかく使い、体の中心部分で生まれた大きな力を、クラブヘッドに伝えれば、ロングドライブは打てます。ただ、この技術をマスターするのが難しいのは、人間の体で一番動きやすい部分である「手」でクラブを持っていることです。今年、メジャーの記録を塗り替えたイチロー選手でも、作シーズンの後半、両腕から力が抜けなくなり、大きく打率を下げました。あれだけの選手でも、腕から力が抜けなくなることがあるのですから。

No,0015