カテゴリー : ゴルフ理論 の記事

07 14 2008

振動数計測器

dscn0455.JPG写真は、ゴルフクラブの振動数を測る器械です。グリップ部分を器械がはさんで、60秒間にクラブがどれくらい振動するかを計ります。シャフトが硬ければ、振幅幅が狭くなるので260とか270という数字が示され、逆に軟らかいシャフトであれば200とか210という数字が出ます。

この振動数を計る器械は、今から15年ぐらい前に開発されているのですが、私がこの器械を買ったのは今年の春です。何故長い間これを使用しなかったか、2つの理由があります。1つは、この器械が初めて販売された時、そのメーカーの人の説明に私が腹を立ててしまったからです。クラブを2次元的(平面状の動き)な運動をさせて、その振動数を計るのですが、クラブはしなって、そしてねじれる、つまり3次元的な動きなのですから、振動数だけではシャフトの性能をすべて表せないにもかかわらず、そのメーカーの人は、振動数万能のような説明をしたので、ちょっとした口論になり「こんな器械誰が使うか!」と思ったのでしょう。

もう1つは、キックポイントの違いによって、出てきた数値の比較ができないことです。 先調子のシャフトであれば、シャフトの先端からしなる位置までの距離が短いので、数字は多く(硬いシャフトと同じ)なり、逆に手元調子のシャフトであれば、シャフトの先端からしなる位置までの距離が長いため、小さい数字(軟らかいシャフト)として現れます。ですから、この器械で計測して仮に「245」という数字が出ても、手元調子のシャフトと先調子のシャフトでは、感じる硬さは全然違います。

では何故この器械を買ったかというと、今売られているクラブのフレック表示が、メーカーによって全然違うからです。明らかに軟らかいシャフトでも、「S」と表示されているものがあります。かなり前に、ここで紹介した「センターフレックス」という測定器は、シャフトの硬さなどを測るにはすぐれたものですが、シャフト単体でしか測定できないので、ヘッドとグリップが付いている完成品は測定できません。お客様に、目で見える形でフレックスを表すために、この測定器を買いましたが、今は気に入ってよく使っています。

03 26 2008

不動裕理選手

dscn0307.JPG3月14日(金)から16日(日)にかけて、宮崎県の 青島ゴルフ倶楽部で行われたアコーディアゴルフレディースで、不動裕理選手が逆転優勝しましたが、ゴルフファンの人ならすでにご存知のことでしょう。2日目が終わった後、「とても明日は優勝を争えるようなショットをしていない。」とコメントしていましたが、結果は7バーディー、ノーボギーのラウンドで、プレーオフに持ち込んでの優勝でした。彼女は、本当のプロの中のプロです。

私が始めて不動選手を見たのは、平成8年のことです。以前にもこのコーナーで書きましたが、プロの森口祐子さんが弊社のクラブでトーナメントに出ていましたので、もっと多くの女子プロにアマチュアリズムを使ってもらうために、1年で22試合のトーナメント会場に出かけました。そして、トーナメントコースの練習場で、夕方1人だけでもくもくとボールを打っていたのが不動選手でした。その時、彼女と同じぐらい練習する選手は、1人もいませんでした。

彼女の練習量は、郡を抜いていましたが、練習における1球のボールを打つ真剣さも他を寄せ付けないものでした(上達するためには凄く大事なことです)。そして、その時は、アイアンショットで大きくフィニッシュを取らないうち方をしていたのが印象的でした。

先日のトーナメントに話を戻すと、「こんなショットではとても優勝争いに加われない」とコメントしながら、翌日(最終日)素晴らしいプレーで逆転する、何故バーディーを量産するショットが打てたのでしょうか?不動選手は、相手に油断を生ませるためにコメントするような選手ではないと思うので、そのコメントは本心だったでしょう。本当のところは不動選手に聞かなければわかりませんが、彼女は最終日にナイスショットを打ち続けて勝ったのではない、と私は考えています。

自分のショットの不完全さをよく理解したうえで、今出そうな致命的なミスショットを避けるショットを打ち続け、それが「運」よくピンの近くによって、パットが入ったということなのでしょう。もう少し具体的に説明します。私の例で言えば、ピンの左に大きなバンカーがあり、距離は7番アイアンとしましょう。ある程度練習のしている時であれば、バンカーには絶対入らないように打てるのですが、少しバンカーを気にしすぎて右にプッシュ気味のショットを打ち、ピン右手前8mにオンしました。仮に、このショットを見ていた人が、まだ100を切れない人であれば、私のショットはナイスショットに見えるかもしれませんが、私にとっては、致命的なミスショットではないにしても、ナイスショットではありません。

不動選手は、抜群の練習量と、ゴルフというゲームの本質を深く理解しており、我々アマチュアから見ればナイスショット見えるショットも、彼女からすれば致命的なミスをしない「安全」に打ったショットの連続だったかもしれません。彼女は、そういうレベルでコースで戦っていると、私には感じられます。さすがです。

11 24 2007

温故知新***4

dscn0265.JPG 今回はジャック・ニクラウスの言葉を紹介します。殆どの人は、彼の名前を知っていると思いますが、メジャータイトル通算で18回獲っている最高のゴルファーでしょう。しかし、彼の功績はタイトルの数だけではなく、写真にあるソフトスパイクは、彼の提唱により実現されました。以前の金属のスパイクでは、早い時間でプレーする人と、遅い時間でスタートした人では、グリーンの状態に随分と差がありました。金属のスパイクが、グリーンの表面に小さな穴を開け、時間がたてば立つほどグリーンのコンディションは、最初に比べれば悪くなってきます。

ジャック・ニクラウスは、競技を出来る限り公平に行うためにグリーンを傷つけにくいスパイクの使用を長い間提唱していました。彼は、自分のプレーだけでなく、ゴルフ界全体の発展のために、色々発言をして、そして行動をしてきた素晴らしい人物です。

「ゴルフに関するすべてのことは、ナチュラルでなければならない。」   ジャック・ニクラウス 

「ゴルフに関するすべて、、、」は範囲が広いですので、ここではスウィングだけに焦点を合わせて考えてみたいと思います。「ナチュラル」ということは、人為的に何かを行ってはいけないということなのでしょう。テークバックを30Cmだけまっすぐ引け、とか、トップオブスウィングでは右手が出前持ちのような格好になれとか、そういうものを意識的に作ってはいけないんだよ、とニクラウスは言っているのだと私は解釈しています。

女子プロの横峰さくら選手や、アメリカのジョン・デーリー選手は、トップオブスウィイングで大きく右脇が開きますが、彼らに出前持ちをさせたら、間違いなくお盆の上に乗っているラーメンや丼はこぼれてしまうでしょう。彼らはプロゴルファーとして成功しているのですから、トップオブスウィングで右ひじの格好が「出前持ち」でなければならないとは、必ずしも正しいとは言えません。

私の2年に及ぶ大スランプで気づいたことの1つに、クラブを通してボールに力をかけるのと、クラブを速く振るのはまったく別の動作であるということです。 クラブを速く振るのも、クラブを使ってボールに力を加えるのも同じではないか、と感じられる人も多いと思いますが、これは全然違うのです。よく引き合いに出しますが、腕相撲を考えて見ましょう。腕相撲をする場合、腕を早く動かして相手を負かそうとするのか、それとも腕を固定して、自分の全体重を相手に加えようとするのか、議論するまでもなく後者です。これが「ナチュラル」な動きです。

ゴルフスウィングも全く同様で、ボールに力を加えようとする動きが、ボールに最大限のエネルギーを加えられるの最高の方法だと思います。クラブを速く振ろうとすると、殆どの場合クラブを持っている腕を速く振ろうとします。「腕を振る」という動作を考えてみると、腕自体の重さ(質量)は大きくなく、腕を思いっきり振ってもあまり大きなパワーは発揮できません。また、腕を強く振ると顔が動きやすく、目線がぶれるので芯で打つことが難しくなり、ミスショットの確率が大きくなります。

反対に、「ボールに力を加える」という動作では、インパクトまで目はボールを見ているはずです。金槌で釘を打つとき、当たる瞬間に釘から目をそらす人はいないでしょう。「ボールに力を加える」という動作を徹底すれば、「ヘッドアップをするな」というアドバイスは不要となります。また、インパクトでボールに集中する、そのためにボールをしっかり目で捉えるために、上半身を「静かに」使おうとします。この「静かに」という動きが、下半身をより積極的に使って、大きなパワーをボールに伝えてくれるのです。

こういう説明をすると、難しいことを言っているようですが、生まれて初めてクラブを振る人は、多くの場合今言ったような動きをします。やや伸び上がりながらゆっくりバックスウィングをとり、体全体でスウィングしようとしています。これがジャック・ニクラウスの言っている「ナチュラル」な動きではないでしょうか。「ナチュラル」な動きとは、クラブを速く振ろうとする動きではなく、「ボール」に力を加えようとする動きだと私は思います。