カテゴリー : ゴルフ全般 の記事

12 24 2008

温故知新****9

dscn0682.JPG「クラブを持たなくても、立派に人と付き合えるプロになれ」  宮本留吉

宮本留吉プロは1902年生まれで、戦前から戦後にかけて活躍した、日本のプロゴルフの草分け的存在です。昔、アメリカに遠征したとき、練習ラウンドか何かで、球聖ボビー・ジョーンズとプレーすることになり、5ドルを賭けてゲームが始まり、結果は宮本プロがジョーンズに勝ちました。それで、宮本プロはジョーンズが差し出した5ドル紙幣に、ジョーンズのサインを書いてもらうよう頼み、その紙幣をそのまま日本に持って帰り、額に入れて飾って家宝にしたそうです。

それからかなりの年月が経った後、ジョーンズがその話しを聞いたとき、「額に入れて飾るなら、キャッシュではなく小切手にしたほうがよかったな」と冗談を言ったそうです。

「立派に人と付き合う」ためには、一般に人が持ち合わせている常識や礼儀を持ち、同じ目線で接することが不可欠でしょう。「俺はお前たちよりゴルフが上手いんだ」とか「沢山賞金を稼いで、いい車を持っているんだ」という気持ちが強いと、それが態度に表れて、「立派に人と付き合う」ことは難しくなります。

「ギャラリーの期待にこたえる」ということは、ギャラリーと同じ目線を持っていないと、それは出来ないと私は思っています。今のプロゴルファーの中で、ギャラリーと同じ目線を持っているプロの1人が、石川遼君ではないでしょうか。彼の発言の中には、ギャラリーを気遣う言葉が多くみられます。

彼がテレビに登場すると、多くの人が彼のプレーに注目すると思います。相当な飛距離や、思い切ったプレー振りなど、見ていて面白いのですが、彼が人を惹きつけるのは、ギャラリーの存在を意識してゴルフをしているからだと感じます。プロですから、勝ちにこだわるのは当然ですが、何故人気のあるプロと、沢山勝っているにもかかわらず、あまり人気のないプロがいるのかといえば、やはりどれだけギャラリーを意識しているか、その差なのかという気がします。

「上野の413球」で有名になった、女子ソフトボールの上野投手の言葉で、「自分のために投げない、他の人のために投げるのだ」、この気持ちで試合に臨むから、チームは完全に1つになり、金メダルが取れたと思います。話は少しそれましたが、周りのことを考えることが、凄く重要ではないでしょうか。

12 17 2008

ソフトスパイク

dscn0680.JPGゴルフスパイクの鋲が、金属製のものから現在多く使われている樹脂製に変わってから、もう10年以上過ぎました。金属の鋲が使われている時は、グリーン上にスパイクの引っかき傷や、スパイクの小さな穴がグリーン上に多く見られ、それを見ていると、ボールが思い通り転がってくれないのではないかと、不安な気持ちでパッティングしたものでした。ソフトスパイクになってから、グリーンの表面がかなりよくなり、スタート時間によってグリーンの状態が変わるということがなくなりました。

このソフトスパイクの導入に積極的だったのが、ジャック・ニクラウスでした。彼がよく主張していたのは、ゴルフは元来フェアなゲームではない、すなわちスタート時間の早い組でプレーした人は、天候に恵まれたが、スタート時間の遅い人は、雨や強い風の中でプレーしなければならないとしたら、当然スコアに大きな影響を与えます。自然の中でプレーするゴルフでは、そんなことを言うべきではない、という意見は当然あるでしょうが、ニクラウスは人間の力でフェアに出来るものであれば、それに取り組むべきだと言い続けて来たのです。

ソフトスパイクが出始めた当初は、スパイクの刃の部分が今ほど尖ってなく、またソールも平でツルッとしていました。まだ出始めたばかりのソフトスパイクでプレーしていたとき、芝生より砂が多いようなティーグラウンドでショットして、足が少し滑ったことがありました。「これだとしっかり打てないなぁ」と思いましたが、あれから10年以上が過ぎ、各メーカーも色々研究して、最近のソフトスパイクは本当に滑らなくなったようです。

写真は、プーマが今年出したソフトスパイクで、一見するとガラスで出来ているようですが、触ると少し弾力性があり、またこのスパイクがスウィング中の足の動きに合わせて、いろんな方向に向いているので、スウィング中しっかりと身体を支えてくれます。私もこのシューズで4,5回プレーしましたが、かなり地面をしっかり捕まえているなという感じがします。ゴルフ場を傷つけず、そしてより快適にプレーできる製品の開発に、これからも各メーカーの大きな期待を寄せています。

11 23 2008

フィッティング

dscn0626.JPG「フィッティング」という言葉は、一般に多く使われているとはいえないかもしれませんが、自分の体型やスウィングに合わせてクラブを作る、または修正することを言います。「フィッティング」を前面に出しているクラブメーカーといえば、アメリカの「PING」でしょう。

「PING」のカタログを見ると、身長と手首から地面までの距離を測ったり、クラブのソールに特殊なシールを貼り、スウィングした時に地面とこすれる部分がシールに現れるので、それを基にクラブのライ角を選んだり、その人に合わせたクラブを作るという点では、十分に準備されていると感じます。

私も、平成7年に「アマチュアリズム」を立ち上げた時、ライ角やフェースアングルなどを色々選べる、カスタムフィッティングをはじめました。アイアンクラブも1本から購入できる「バラ売り」も始めました。当時としては、アイアンクラブのバラ売りは殆どなかったので、かなり好評でしたが、今振り返ると「カスタムフィッティング」はかなり喜んでいただけた方もいましたが、中には何度も修正をしたこともありました。 そして、その何度も修正したお客様は、最終的には満足していなかったように思えます。

話は変わりますが、昔プロのトーナメントによく行っていたときの事ですが、何度も優勝経験のある女子プロと話していた時のことで、その女子プロは「私は調子の悪い時は、絶対にクラブを新しいものに換えない様にしている。そうしないと、いま自分の状態がどんなふうなのか、全くわからなくなってしまうから。」と言いました。全くその通りだと思いました。トーナメント会場を歩いていると、「大井さ~ん、そのクラブ打たせて」と言ってくるプロは時々いましたが、何故私の作ったクラブを打ちたいかというと、その女子プロはショットの調子が悪くて、クラブを換えることによって、少しでも調子が上向くことを期待しているのでしょう。

プロもアマも同じで、調子が悪い時クラブを換えたら、調子が上向くかもしれない、そのように思いたいものです。私が、今フィッティングにあまり力を入れないのは、クラブを換える人の何割かは、調子が悪いのでクラブを換える動機となっているのです。調子の悪い時にフィッティングしてクラブを作れば、調子がよくなればそのクラブでは、良いショットが打てないはずです。

スウィングはゴルフをやっている限り、常に変化するものだと思います。 ショットの調子が悪くなると、シャフトを代えたり、ライ角を変えたり色々する人がいますが、そういう人は何度もショップに来られて、常にクラブに対して愚痴をこぼします。こういう人は、さっきの女子プロの言葉で言うなら「自分がどういう状態になっているかが分からない」であり、調子のよいときのゴルフを取り戻すのは、なかなか難しいでしょう。

フィッティングそのものは素晴らしいことですから、非常に調子のよいときにフィッティングをしてクラブを作り、調子が悪くなぅたらクラブをいじるのではなく、自分のスウィングをしっかりと見つめて、今のクラブでよいショットが打てるように練習して調子を上げることが、最善で唯一の方法ではないでしょうか。